圧倒と馬と孔雀

東京国立博物館の「空海密教美術展」に行ってきました!
もうじき終了ということもあって、かなりの混雑でした。ちなみに平日でしたが、入場30分待ちです(笑)

仏像は勿論のこと、司馬遼太郎氏の「空海の風景」を読んだのもあって、書も非常に楽しみでした。
人と人の隙間から少しだけ見えた!みたいなものも多かったんですが…。
しかし、百聞は一見にしかずです。
ひと目見ただけでも、印象や発見、大量の体験にかわりました。
書は人が多くてどうしてもゆっくり見れませんが、仏像は360度見れるのもが大半で、角度を変えながら比較的じっくり見れます。

というかじっくり見させられます。
まさに圧倒されます。

信仰の対象や具現化の仏像とはいえ、やはり造った人がいるわけです。
いみじくも同じもの造りという立場で、自分がもしこれを造るとなると……いやはや恐ろしい。
驚きのイマジネーション、複数の顔や腕や足。非常に繊細かつ豪華なデティールなのに決してテーマを邪魔することはなく、むしろ静かに強靭に寄り添う。理想美を描きだすための強烈で大胆なデフォルメ。
勿論造った人は、長い仏教の歴史の中に脈々と伝えられてきたものにのっとって
いるのでしょうから、無から造ったわけではないかもしれません。
しかし、脈々と伝わったというものはそれだけ重いともいえます。

造る人の労力、努力は想像を絶します。
なぜ絶するかというと仏像からはそれらが微塵も感じないからです。

これは凄いことだと思います。
そして出来上がった仏像は隙がありません、人を威圧するわけではありませんがまさに圧倒的です。
うーむ凄まじい。

ちなみにどの仏像さんも素晴らしいのですが、個人的に物凄く好みだったのは「蓮華・業用虚空蔵菩薩坐像(五大虚空蔵菩薩のうち)」でした。
馬や孔雀に乗った菩薩さまなんですけど、少し細身なユニークなデフォルメをされた菩薩さまで、装飾はシンプルですがとても綺麗です。
そして菩薩さまを乗せている馬や孔雀が結構可愛い(笑)
また、その馬や孔雀から「菩薩さまを乗っけてるんだぞ!」という喜びや誇りが溢れているように感じるのもたまりません。