視覚表現

先日、アントニオロペス展
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_lopez/index.html
半田也寸志写真展
http://art-and-more.net/2013/04/iron-stills.html
を観てきました。
どちらも凄く良かったです!期間はもうじき終わってしまいますがお勧めです。

視覚表現って不思議だなーと思います。

ロペスさんの鉛筆だけで描かれた白黒の絵をじっと見ていると、扉が開いていて、部屋の奥には白い便器やシャワーがあって、そこに辿りつくまでの床のタイルが一つ一つ描かれていて・・・とそのあたりで、ぎょっとなります。

本当にその部屋に居る感覚になるんです。
まるでロペスさんが描いている場所に私も居て、ロペスさんの視覚が私の視覚になったかのような。

よくリアルだねーって感想があると思うのですが、表現って再構築なのでリアル(本物?)ではないのです。
当たり前ですけど、紙と鉛筆で描かれた絵ですから。

でもロペスさんの視覚になったような時は、ロペスさんの目前のリアルな景色を感じるんです。
ロペスさんにとっては間違いなく本物、実際のモノや景色。
それをどう見たとか、見えているとかを感じるんです。
それはリアルと呼べるのかもしれないないと思います。

そして興味深いのは時間です。絵はとても長い時間をかけます。とくにロペスさんは5年とか10年とかとても長いです。
本人の映像で「私は一つの作品に一生かけても良いと思っています」といった主旨の言葉があって、個人的には目からウロコでした。

半田さんの写真も足掛け5年の企画だそうです。
アメリカの鉄にまつわる写真で重厚な写真展です。
そして写真一点一点の解説文が凄い。一時間の鑑賞ではとても読みきれないボリューム、まるで小説です。

面白いのは写真は絵と違って一瞬を切り取るものです。
でも、その写真からは半田さんのかけてきた時間や調べ上げた対象への敬意等が伝わってきます。

時間をかけるのか、かかっちゃうのかは分かりませんが(笑)何かに対してとても長い時間をかける魅力にちょっと惹かれました。

展示を通して、視覚表現の共有感覚や、自分自身が一番分からないとか、映像にとっての時間とか、まだまだモヤモヤしている事は色々ありますが、長くなるのでこのあたりにします。ではでは。